Oval Stone Villa
大きな建築で、小さな居場所をつくる
「富士山を正面に望む湖畔の大きな敷地。ここにほぼ一人で過ごすための「1LDK」をつくって欲しい。予算はいくらかかっても構わない」基本的に住居系のプロジェクトに関しては、コンペの場合承らないことにしている。それは、1つの家族のために 本当に相応しい空間というのは、お互いの信頼関係に根ざしながら時間をかけて徐々に積み上げていかないとつくれないと思っているからだ。 しかし、この山荘は8社ほどの指名コンペだった。どうしてやってみようかと思ったのかと言われれば、最初に書いた設計条件があまりにも特殊だったからだ。かなりの難易度とハードルの高さは感じつつも、その条件で自分が構想をすることで、どんな建築が姿を現すのかということに強く惹かれた。かくして約1ヶ月、スタッフと共に寝る間を惜しんでの作業が続いたのだ。最初に書いたゆるい設計条件の他に、一枚の写真が渡されていた。それはロマネスクの石造教会。かなり厚い石を積んでつくられた事例で、そういうイメージでつくって欲しいということだった。
現地を訪れてから、いかにしてその土地全体を使い切るか。そして、建築の内部ボリュームが一人で過ごすことに耐えうるくらい〈小さく〉できるか?ということに集中して検討を重ねた。これは言ってみれば、最大限大きな建築で、小さな居場所をつくるかという試みだった。アプローチからコレクションしている美術品をならべたギャラリーを兼ねた大きな階段室を経て2階の主室に至る。2階(LDK)は一室空間になっているけれど、最小限必要なエレメントによって自然に分節されている。湖や富士山に開くと同時に、ハイサイドライトからは廻りの山並みが見渡せる。内部の人が占有する領域は心地よいスケール感でつくり、外部からの視線は適度に遮りながらマクロな距離感での周辺環境へは常に開いている。そういうバランスの空間に組み上げていった。
厚めの石で仕上げた躯体の上に、鉄骨と木造をハイブリッドした構造で浮いた屋根を架構。この屋根形状はプランの曲線に追従すると同時に、必要なボリュームにあわせて螺旋状に登っている。街並みに大きすぎるボリュームとし て映ることを避けることと、山の稜線から連続しているものとして感じさせようとして採用。曲面の空間に高さ方向のリズムが生まれた。
守られながらも地球環境へは開き、重厚で豊かな内部空間に包まれる。その質感をも伝えるために、徹底してリアルなプレゼンテーションに挑んだプロジェクトである。
大きな建築で、小さな居場所をつくる
「富士山を正面に望む湖畔の大きな敷地。ここにほぼ一人で過ごすための「1LDK」をつくって欲しい。予算はいくらかかっても構わない」基本的に住居系のプロジェクトに関しては、コンペの場合承らないことにしている。それは、1つの家族のために 本当に相応しい空間というのは、お互いの信頼関係に根ざしながら時間をかけて徐々に積み上げていかないとつくれないと思っているからだ。 しかし、この山荘は8社ほどの指名コンペだった。どうしてやってみようかと思ったのかと言われれば、最初に書いた設計条件があまりにも特殊だったからだ。かなりの難易度とハードルの高さは感じつつも、その条件で自分が構想をすることで、どんな建築が姿を現すのかということに強く惹かれた。かくして約1ヶ月、スタッフと共に寝る間を惜しんでの作業が続いたのだ。最初に書いたゆるい設計条件の他に、一枚の写真が渡されていた。それはロマネスクの石造教会。かなり厚い石を積んでつくられた事例で、そういうイメージでつくって欲しいということだった。
現地を訪れてから、いかにしてその土地全体を使い切るか。そして、建築の内部ボリュームが一人で過ごすことに耐えうるくらい〈小さく〉できるか?ということに集中して検討を重ねた。これは言ってみれば、最大限大きな建築で、小さな居場所をつくるかという試みだった。アプローチからコレクションしている美術品をならべたギャラリーを兼ねた大きな階段室を経て2階の主室に至る。2階(LDK)は一室空間になっているけれど、最小限必要なエレメントによって自然に分節されている。湖や富士山に開くと同時に、ハイサイドライトからは廻りの山並みが見渡せる。内部の人が占有する領域は心地よいスケール感でつくり、外部からの視線は適度に遮りながらマクロな距離感での周辺環境へは常に開いている。そういうバランスの空間に組み上げていった。
厚めの石で仕上げた躯体の上に、鉄骨と木造をハイブリッドした構造で浮いた屋根を架構。この屋根形状はプランの曲線に追従すると同時に、必要なボリュームにあわせて螺旋状に登っている。街並みに大きすぎるボリュームとし て映ることを避けることと、山の稜線から連続しているものとして感じさせようとして採用。曲面の空間に高さ方向のリズムが生まれた。
守られながらも地球環境へは開き、重厚で豊かな内部空間に包まれる。その質感をも伝えるために、徹底してリアルなプレゼンテーションに挑んだプロジェクトである。