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KMK
都市住宅   大開口   中庭  

KMK
 
自然に対してダイレクトに繋がることと、何かを介して感じること 
 
ここで、きめ細かくコントロールしていたことを一言で表せば
この言葉の狭間で常に揺り動いていたように感じている。
 
もとの土地を四分割した角地にあたる敷地で、道路側に中庭空間を設けて内部と連続させていくという方針は、
設計のかなり早い段階から決まっていた。
求められたのは、大きな空間のおおらかな まわりと、周りを気にせず使えるテラスだった。
構造用合板の下端で1階床から約2900mm と、木造にしては高い階高を与えた上に、
中庭近くは2階までの吹き抜けとしている。
内外は同じタイル床でつながり、樹脂塗りの壁材も内外に連続している。
全面開放ができる開口部を開け放つことで、内外の境界線はさらに曖昧になっていく。
なお、シンプルな矩形の LDK の空間に構造要素が落ちてこないように、水平力を玄関周りの構造に委ねていることも、
おおらかな空間を実現するために一役買っている。
 
閉めきった部屋を空調して快適な温度になるよりは、外の環境を楽しみながら暮らしたい
というクライアントの趣向からも導かされたコートハウス(中庭)のプランであった。
一方で、中庭が設けられているのが南西方向であることから、西日への対策が必要になる。
ここでは遮熱タイプの low-e ガラスを入れるほかに、上部窓には電動ブラインドを設け、テラス窓には網戸代わりにもなる内建具を設けることで応えている。
引き込み式の内建具には和紙素材のメッシュが嵌め込まれている。この素材は、開口部の様々な場所に設けられた内建具にも採用されており、障子紙を貼るほどには隔絶しない透け感をもたらしている。
 
空間が大きく、家のなかでは公の空気感がある1階部分に対して、2階は家族5人(ご夫婦+お子さん3人)のためのスペースとして考えられている。壁面に開ける開口部を抑えめにし、天窓も活用しながら導いた光を「白」のグラデーションで受けとめている。下地は構造用の木材であったり、石膏ボードであったり、造作材であったり様々であるけれど、素材感を塗りつぶさないように「白」を重ねることで柔らかい光の反射・回折をつくり出している。
 
都市住宅における「光」。
まずはうまく取り入れることからスタートしていくことが多いけれど、この住宅では
「その先のグラデーション」をどうつくるか、という点にかなりの時間を割いている。
どんな素材がそれに重なっていくのか、ディテールはどうあるべきか。
その探求は終わることのない問いかけを常にもたらしてくれる。

(廣部剛司)

建築概要
名称  :KMK
所在地 :東京都世田谷区
主要用途:専用住宅
主体構造:木造
規模  :地上2階
敷地面積:177.52㎡
建築面積:101.27㎡(30.58坪)
延床面積:189.56㎡(57.44坪)
竣工  :2024年3月 
構造設計:構造設計工房デルタ
施工  :匠陽

KMK
 
自然に対してダイレクトに繋がることと、
何かを介して感じること 

 
ここで、きめ細かくコントロールしていたことを一言で表せばこの言葉の狭間で常に揺り動いていたように感じている。
 
もとの土地を四分割した角地にあたる敷地で、道路側に中庭空間を設けて内部と連続させていくという方針は、設計のかなり早い段階から決まっていた。
求められたのは、大きな空間のおおらかな まわりと、周りを気にせず使えるテラスだった。
構造用合板の下端で1階床から約2900mm と、木造にしては高い階高を与えた上に、
中庭近くは2階までの吹き抜けとしている。
内外は同じタイル床でつながり、樹脂塗りの壁材も内外に連続している。
全面開放ができる開口部を開け放つことで、内外の境界線はさらに曖昧になっていく。
なお、シンプルな矩形の LDK の空間に構造要素が落ちてこないように、水平力を玄関周りの構造に委ねていることも、おおらかな空間を実現するために一役買っている。
 
閉めきった部屋を空調して快適な温度になるよりは、外の環境を楽しみながら暮らしたい
というクライアントの趣向からも導かされたコートハウス(中庭)のプランであった。
一方で、中庭が設けられているのが南西方向であることから、西日への対策が必要になる。
ここでは遮熱タイプの low-e ガラスを入れるほかに、上部窓には電動ブラインドを設け、テラス窓には網戸代わりにもなる内建具を設けることで応えている。
引き込み式の内建具には和紙素材のメッシュが嵌め込まれている。この素材は、開口部の様々な場所に設けられた内建具にも採用されており、障子紙を貼るほどには隔絶しない透け感をもたらしている。
 
空間が大きく、家のなかでは公の空気感がある1階部分に対して、2階は家族5人(ご夫婦+お子さん3人)のためのスペースとして考えられている。壁面に開ける開口部を抑えめにし、天窓も活用しながら導いた光を「白」のグラデーションで受けとめている。下地は構造用の木材であったり、石膏ボードであったり、造作材であったり様々であるけれど、素材感を塗りつぶさないように「白」を重ねることで柔らかい光の反射・回折をつくり出している。
 
都市住宅における「光」。
まずはうまく取り入れることからスタートしていくことが多いけれど、この住宅では
「その先のグラデーション」をどうつくるか、という点にかなりの時間を割いている。
どんな素材がそれに重なっていくのか、ディテールはどうあるべきか。
その探求は終わることのない問いかけを常にもたらしてくれる。

(廣部剛司)

建築概要
名称  :KMK
所在地 :東京都世田谷区
主要用途:専用住宅
主体構造:木造
規模  :地上2階
敷地面積:177.52㎡
建築面積:101.27㎡(30.58坪)
延床面積:189.56㎡(57.44坪)
竣工  :2024年3月 
構造設計:構造設計工房デルタ
施工  :匠陽

Photo
@Koichi Torimura

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