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中野坂上の二世帯住宅

中野坂上の二世帯住宅
 
 
 敷地は神田川の近く、もともとの木造家屋と、別棟ではあるがおそらく増築申請をして建てられた住宅があった。この別棟のみを残しながら、残りのスペースに二世帯住宅をつくるというのが計画の出発点であった。別棟は単体で住宅としての機能を完全に満たしているため、今回の計画で離れとして申請することは難しい。そこで、敷地自体を分筆することとなった。
 
かなりタイトなラインを想定して微調整をしていったが、それでも分筆後の敷地に二世帯住宅を入れ込むのはシビアな平面検討となった。なお、玄関はそれぞれにあるが、共用部を介して行き来できるようになっており、申請上は一戸建てである。
 
 敷地周辺の状況に目を移すと、かなり高いマンションに挟まれていることがわかる。採光や眺望の点では厳しい反面、高さ方向の法規制にはゆとりがある。そこで、防火規制やコスト面を考慮の上で設定された「木造2階建て」という縛りのなかで、高さ方向にはのびやかな寸法体系を持つ住居を目指すこととした。
 
 1階の天井高は基本的に梁上の合板下で2850mmを確保。2階の床梁を露出にしているのは少しでも高さを取りたいと言うことと、もともと大工をされていた家のご家族が、木質の空間をのぞまれたことから選択されている。
 
 いっぽう2階世帯では、限られたエリアのなかで収納スペースに対するご要望を満たすため、個室下に床下収納を計画したことから、その分階高が高くなり、そのままLDKは床下収納がないぶん大きなボリュームを獲得することとなった。天井高は屋根傾斜で変化していくが低いところで3.8m。最高部は4.5m程度確保されている。
 
 天井の高さは、採光面での自由度を増すためにも寄与している。高い位置から拡散しながら光を届ける3つの天窓、南西面やテラス側に設けられた高窓が、通常の窓配置だけでは難しい光の分布をもたらしている。
 
 内部の素材はできる限りナチュラルなものから選ばれている。
基本的に床材はオークの無垢フローリング、壁は刷毛目を引いたシラス塗りで、それぞれ1階世帯の方が少し明るい色で構成されている(工事の坪単価は施工床計算で約81万/坪)
 
内部ガレージにはアルファロメオの限定車が納まり、1階世帯のアプローチ廻りは車椅子対応のためバリアフリーを意識して計画されている。
 
 空間の縦方向のプロポーションは、その場にいる人間の目線の位置によってまったく違う印象で認識される。住宅の場合、その視点は圧倒的に低い(座っている)時間帯が長い。ここでは天井高を高くしていくことで、天井の存在は視界から切り離され、最終的に空間の大きさを測っているのは、音の響き(聴覚)になっていくのではないか…と考えながら設計を進めていた。
 

(廣部剛司)

 
 
建築概要
名称  :中野坂上の二世帯住宅
所在地 :東京都中野区
主要用途:専用住宅
主体構造:木造
規模  :地上2階
敷地面積:149.21㎡(45.13坪)
建築面積:82.779㎡(24.99坪)
延床面積:151.996㎡(45.89坪)
竣工  :2018年7月 
 
構造設計:有限会社 構造設計工房デルタ
施工  :山菱工務店

 
 敷地は神田川の近く、もともとの木造家屋と、別棟ではあるがおそらく増築申請をして建てられた住宅があった。この別棟のみを残しながら、残りのスペースに二世帯住宅をつくるというのが計画の出発点であった。別棟は単体で住宅としての機能を完全に満たしているため、今回の計画で離れとして申請することは難しい。そこで、敷地自体を分筆することとなった。
 
かなりタイトなラインを想定して微調整をしていったが、それでも分筆後の敷地に二世帯住宅を入れ込むのはシビアな平面検討となった。なお、玄関はそれぞれにあるが、共用部を介して行き来できるようになっており、申請上は一戸建てである。
 
 敷地周辺の状況に目を移すと、かなり高いマンションに挟まれていることがわかる。採光や眺望の点では厳しい反面、高さ方向の法規制にはゆとりがある。そこで、防火規制やコスト面を考慮の上で設定された「木造2階建て」という縛りのなかで、高さ方向にはのびやかな寸法体系を持つ住居を目指すこととした。
 
 1階の天井高は基本的に梁上の合板下で2850mmを確保。2階の床梁を露出にしているのは少しでも高さを取りたいと言うことと、もともと大工をされていた家のご家族が、木質の空間をのぞまれたことから選択されている。
 
 いっぽう2階世帯では、限られたエリアのなかで収納スペースに対するご要望を満たすため、個室下に床下収納を計画したことから、その分階高が高くなり、そのままLDKは床下収納がないぶん大きなボリュームを獲得することとなった。天井高は屋根傾斜で変化していくが低いところで3.8m。最高部は4.5m程度確保されている。
 
 天井の高さは、採光面での自由度を増すためにも寄与している。高い位置から拡散しながら光を届ける3つの天窓、南西面やテラス側に設けられた高窓が、通常の窓配置だけでは難しい光の分布をもたらしている。
 
 内部の素材はできる限りナチュラルなものから選ばれている。
基本的に床材はオークの無垢フローリング、壁は刷毛目を引いたシラス塗りで、それぞれ1階世帯の方が少し明るい色で構成されている(工事の坪単価は施工床計算で約81万/坪)
 
内部ガレージにはアルファロメオの限定車が納まり、1階世帯のアプローチ廻りは車椅子対応のためバリアフリーを意識して計画されている。
 
 空間の縦方向のプロポーションは、その場にいる人間の目線の位置によってまったく違う印象で認識される。住宅の場合、その視点は圧倒的に低い(座っている)時間帯が長い。ここでは天井高を高くしていくことで、天井の存在は視界から切り離され、最終的に空間の大きさを測っているのは、音の響き(聴覚)になっていくのではないか…と考えながら設計を進めていた。
 

(廣部剛司)

 
建築概要
名称  :中野坂上の家
所在地 :東京都中野区
主要用途:専用住宅
主体構造:木造
規模  :地上2階
敷地面積:149.21㎡(45.13坪)
建築面積:82.779㎡(24.99坪)
延床面積:151.996㎡(45.89坪)
竣工  :2018年7月 
 
構造設計:有限会社 構造設計工房デルタ
施工  :山菱工務店

Photo
@Takeshi Hirobe