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駒沢のリフォーム

駒沢のリフォーム
 
 
マンションの玄関からリビングに至るわずか5mあまりのリフォームである。
ユニットバスや洗面など水廻りの更新も含まれていたが、デザイン的に最も重要視されたのはこの「5m」だ。
 
クライアントから提示された条件は、購入された漆の屏風を空間に入れ込むこと、それからすでに欧州的でクラッシックな雰囲気にリフォームされていたリビングへと自然に繋がること。
 
西洋からみた東洋(シノワズリ)を意識することだった。
この条件に対して、東洋的なもの、西洋的なものを橋渡しする要素について、かなりの時間をかけて検討を重ねた。そのうちに、建築の記号としての「アーチ」に辿り着いたのだ。
 
歴史のなかでより大きな空間を支持する為の手法として発展したアーチには、構造的な合理性と共にそれ自身が長年かけて生み出していった<空間の記憶>が刷り込まれている。尖塔アーチを分解して片側ずつの曲線にすることで、アーチの印象を持ちつつ、見る側の動きによって、その交差が連続的に変化していく構成に至った。
 
この印象をつくり出すために必要なのは「高さ」であった。そこで、限られた情報から上階スラブまでの寸法を類推し、遮音条件が変化してしまうことに対応する処置をしながら空間を上方に拡張していった。アーチを構成する部材にぴったりと埋め込まれた屏風は玄関で来客を迎え、色彩も漆の黒を補色的に支える紫がかった特殊塗料を採用。この色調は5mのなかで徐々に白に近づいていく。それは、リビングの基調色が白であるために仕組まれた道筋だ。
インテリアの必要要素をいかに<建築的に>解くか、それがこのプロジェクトを通してぶれない芯であった。
 

(廣部剛司)
 

建築概要
名称  :駒沢のリフォーム
所在地 :東京都世田谷区
主要用途:集合住宅(住戸)
専有面積:73.65㎡(22.27坪)
バルコニー面積:17.85㎡(5.39坪)
竣工  :2017年7月 
施工  :宗建築

 
 
マンションの玄関からリビングに至るわずか5mあまりのリフォームである。
ユニットバスや洗面など水廻りの更新も含まれていたが、デザイン的に最も重要視されたのはこの「5m」だ。
 
クライアントから提示された条件は、購入された漆の屏風を空間に入れ込むこと、それからすでに欧州的でクラッシックな雰囲気にリフォームされていたリビングへと自然に繋がること。
 
西洋からみた東洋(シノワズリ)を意識することだった。
この条件に対して、東洋的なもの、西洋的なものを橋渡しする要素について、かなりの時間をかけて検討を重ねた。そのうちに、建築の記号としての「アーチ」に辿り着いたのだ。
 
歴史のなかでより大きな空間を支持する為の手法として発展したアーチには、構造的な合理性と共にそれ自身が長年かけて生み出していった<空間の記憶>が刷り込まれている。尖塔アーチを分解して片側ずつの曲線にすることで、アーチの印象を持ちつつ、見る側の動きによって、その交差が連続的に変化していく構成に至った。
 
この印象をつくり出すために必要なのは「高さ」であった。そこで、限られた情報から上階スラブまでの寸法を類推し、遮音条件が変化してしまうことに対応する処置をしながら空間を上方に拡張していった。アーチを構成する部材にぴったりと埋め込まれた屏風は玄関で来客を迎え、色彩も漆の黒を補色的に支える紫がかった特殊塗料を採用。この色調は5mのなかで徐々に白に近づいていく。それは、リビングの基調色が白であるために仕組まれた道筋だ。
インテリアの必要要素をいかに<建築的に>解くか、それがこのプロジェクトを通してぶれない芯であった。
 

(廣部剛司)
 

建築概要
名称  :駒沢のリフォーム
所在地 :東京都世田谷区
主要用途:集合住宅(住戸)
専有面積:73.65㎡(22.27坪)
バルコニー面積:17.85㎡(5.39坪)
竣工  :2017年7月 
施工  :宗建築

Photo
@Koichi Torimura
@Takeshi Hirobe