タマミガーデン
 
 
このプロジェクトは、施主側の設計監修者として関わることとなったものである。敷地に対しての基本的なボリュームスタディや、簡易な法令チェックは企画段階で、弊社にて行っていたため、事業収支や法規制からの判断から、地上３階程度の店舗+集合住宅という輪郭は決まっていた。
 
その後、施主側の判断で「東建コーポレーション」の設計施工を基本とすることになり、弊社は設計監修者として、施主側の代理となる契約を結んでプロジェクトを進めた。
基本プラン作成においては、東建側からもプラン提案をしていただいたが、収支上は同条件で、より周辺環境に配慮した案になるとして、弊社で作成した案が採用された。
 
二子新地の駅前商店街に位置する敷地は三角形に近い変形敷地で、駅側が鋭角になっていた。敷地周辺から見ると商店街側が街に対してのファサードであり、脇道に入る南側と西側は住宅地に対しての面をみせる。３層の壁が商店街側に立ち上がるプランは比較的楽に解けるが、かなり街並みに圧迫感を生むと考えた。そこで、床面積の必要な１階の店舗部分は敷地なりのボリュームとし、上部の集合住宅を住宅地側に寄せた。その結果、V字にオープンスペースを取ることができ、そこに植栽を施すことによって集合住宅部分の共用部を中庭的な空間に。そして、街に対しての「引き」をつくり植栽の緑を届けるプランとなった。
 
この「タマミガーデン Tamami Garden」というネーミングは、多摩川が見えていたころにつけられた昔の名称と、緑を届けるというコンセプトからつけられた。
外壁には特殊な防汚釉薬で焼かれた白いタイルを採用し、目に近い部分には特注パターンのボーダータイルを採用している。このタイルのパターンは数十種類の組み合わせデザインを事務所で作成したなかから、数種類を実際に見本焼きし、選定したものである。道路の交点となる部分にも植栽を施し、コーナーの見通しをよくすると同時に、街への潤いとしての余白をもたらそうとしている。
 

建築概要
名称　　：タマミガーデン
所在地　：神奈川県川崎市
主要用途：店舗付共同住宅
主体構造：鉄骨造
規模　　：地上３階
敷地面積：372.88㎡（112.8坪）
建築面積：266.34㎡（80.57坪）
延床面積：622.23㎡（188.23坪）
竣工　　：2018年2月 
設計監修：株式会社 廣部剛司建築研究所
設計・施工：東建コーポレーション株式会社